転職が当たり前の時代、自社のキャリアパス体制が果たす役割

 

採用難、早期離職など企業課題が尽きない昨今。

企業が従業員のキャリアパスを用意する重要性を考えます。

自社を選んでもらい、働き続けてもらうために整備しておくべきことがらのようです。

 

転職は当たり前!求職マーケットの実情

 

自社が求める人材に入社してもらい、できるだけ長く働いてもらいスキルと能力を高めてもらう。

これが組織力の向上にもつながる企業の理想像だと思います。

しかし、人材の労働人生のすべてに責任は持てないというのも現代企業の実情ではないでしょうか。

 

一方で、求職者側もこの世情をよく認識しています。

人事の総合メディア「@人事」(株式会社イーディアス)の調査でも、

入社時にすでに転職を視野に入れている新卒者は24.4%。

5人に一人は半年から3年未満の早期離職を意図しているという結果です。

 

その理由の中でもっとも多いのが、「キャリアアップしたい」というポジティブなものでした。

参考:https://at-jinji.jp/blog/27030/
@人事編集部調べ「内定先企業の退職予定時期」
「あなたはいつ頃会社を辞める予定ですか?」2019年春入社の新入社員へ緊急アンケート

 

仕事のできる人から辞めていく…昔から言われる通念のように思われます。

退職理由は「キャリアアップが見込めないから」ということになります。

 

スキルがやっと成熟し、これから戦力という人材の離職は企業にとっても大きな損失。

人材のキャリアアップをカバーできない企業の従業員には、

他社が視野に入るという構図は簡単にできあがってしまうようです。

 

キャリアパスを提示する意義

 

自社で従業員の1年後、3年後、5年後、10年後のキャリアのステップを用意する重要度は高まっています。

新卒や第二新卒も、就職/求職活動の時点で、すでに将来的なキャリアアップを望んでいます。

 

自社でどのようなキャリアが構築できるのかを提示し、

将来像をイメージしてもらうことは、企業選択の判断材料となるはずです。

企業の人材育成に対する意欲を感じてもらうこともできるでしょう。

 

また、キャリアパスの存在は、

入社してからのモチベーションを保つことにもつながるものではないでしょうか。

 

一人ひとりが独自のキャリアを描くものですが、明確でない人材もいます。

漠然と働く月日を流してしまってはマンネリ化しやすく、停滞感から離職が視野に入る可能性も否めません。

 

現状のキャリアプランが、経験を通して大きく変化していくことも考えられます。

キャリア構築の支援や考える機会を企業が提供することは、

(本人が気づいていなくても)従業員にとってベストなキャリアを築くことのプラスになるはずです。

 

自分にフィットしている、かつ、成長しているという実感のあるキャリアが自社で実現できれば、

離職の可能性を低くし、自社で活躍し続けてもらうことができるでしょう。

 

キャリアパスに求められる要素

 

もちろん、すべての人材に対して完全フィットのキャリアパスを用意することは難しいですが、

単に上位ポジションを設置し、それを伝えるだけでは意味をなしません。

合わなければ(伝わらなければ)すぐに転職できる市場もあります。企業は何を伝えていくべきでしょうか。

 

リクルートキャリアの調査によると、

「どこの会社でも通用する汎用的な能力が身に付く」ことを希望する学生は72.3%、

対する「企業独自の特殊能力」は27.7%と大差が出ています。

 

これらの差は年々広がりが見られるようで、転職が視野に入っていることを物語っています。

 

入社予定企業の決め手は?という質問に対し、「自らの成長が期待できる」答える学生は多く、

パーソルキャリアによる別調査でも仕事を通じて成長したい学生は86.2%でした。

どのようなステップやプロセスを踏ませることが成長実感につながるのかを考慮した仕組みが求められます。

また、働くことを楽しみたい学生は79.3%、

仕事を楽しめる余裕を確保するためのワークライフバランスを意識する傾向も高くなっているようです。

 

これらのニーズを踏まえた募集・情報配信が有効と考えられるとともに、

入社後にこれらの期待を裏切らないプロセスを含んだ

キャリアパスの体制づくりも重要なポイントとなってくるでしょう。