1on1という手段の有効・無効の境界線

コミュニケーションツールのオンライン化が進み、上司と部下が直接対話し、

相互理解を深める機会が減っています。

さらに、一律でない働き方をする部下を、公平に評価するのは至難の技。

対策は取られていますか?

今回は、管理職層の悩み解決の一手となる1on1についてお伝えします。

 

1on1が広がる背景:現代の管理職の傾向

 

バブル崩壊して不景気が続いた時期、多くの企業が「雇用を抑制」しました。

その頃に雇用した人材が今も自社に留まってくれていれば、

年代的には管理職をはじめとした幹部候補です。

 

同時期に、「成果主義」の評価方法が取り入れられるようになり社員は混乱。

「個人主義」や「転職」に拍車がかかり、企業の若手育成を一層難しくしました。

 

そのような環境が続いたつけが今、マネジメント能力を備えたミドル層の人材の不足

という局面につながっているようです。

 

マネジメントのあり方も従来と同じではうまくいかなくなっています。

部下の働き方が多様化しているため、従来のようなコミュニケーションや

一律基準の評価方法が通用しなくなっているのです。

そのような雇用環境を受け、評価制度を見直す企業が増えていきます。

 

そして、適切で納得の得られる評価を与えていくための手段の一つとして、

1on1が注目されるようになりました。

 

1on1とは?期待される効果

 

1on1では、上司と部下が週一など、比較的高い頻度で、定期的に個人面談の機会を設けます。

取りにくくなった日常的な上司と部下のコミュニケーション(理解するための機会)を

増やします。

一回一回を10~15分など短時間で行われるのも特徴です。

 

年に1、2回の通常面談では、まとまった時間を取ったとしても、

上司が評価や意見を伝えることが多く、部下が受け身になりがちではないでしょうか。

 

1on1では、上司は、部下の言葉に耳を傾け、受け入れ、共感を示していきます。

仕事の振り返り、目標、改善点などは、部下から引き出していくのです。こうすることによって、

部下の本音や本質的な考え方が見えやすくなります.

 

部下は、一人ひとり、生い立ちも違えば、家庭環境や仕事(労働)に対する考え方も異なります。

まずは、部下に関心を寄せる姿勢を見せることで、より深い理解がしやすくなるということです。

理解が深まれば、上司が差し伸べるサポートも的確になります。

上司と部下の関係も良くなり、納得度の高い評価を与えやすくなるのです。

 

職場の雰囲気が良くなるだけでなく、従業員と企業の関係性も良くなっていくと考えられます。

管理職からの適切な情報共有によって、企業人事にも適切に反映しやすくなるからです。

 

単なる面談では効かない

 

1on1は、上司も部下も、なぜそのミーティングをするのかという

主旨や意義をよく理解しておく必要があります。

意義を理解しないままの対話では、部下が自ら「気づき」を得ていくことが難しくなります。

 

上司は、自分の意見やアドバイス、もしくは指示は控えます。

面談と実践の繰り返しで、部下の自らの意志による行動や成長を促すのが目的だからです。

部下の意思決定を尊重したフィードバックを行います。

 

部下は、受け身ではなく、自らが意思決定していく場だという認識を持って臨む必要があります。

高頻度の面談ほど、日々の業務(ときには仕事以外の悩みも含む)との関わりは、

より密接なものとなります。

有効に機能すれば、日常的な主体性や自律性をトレーニングとなるのです。

 

1on1は、適切に運用できれば、現代企業が抱える問題や課題を解決する要素を持ち合わせています。

人事、管理職、部下のそれぞれが、面談の目的や意義を理解し、

主体性を持って取り組むことが大切です。

 

そこまでクリアできれば、コミュニケーションの活性化とともに、

管理職も適切な評価がしやすくなり、人材の定着も期待できるでしょう。