人生100年時代、リカレント教育への注目度が高まっています。
人が働かなければならない期間は長くなり、
同時に急速な時代の流れに自分を合わせる必要性も認識され始めたからです。
今回は、企業人事のリカレント教育との向き合い方を考えます。
政府も動き出した!リカレント教育とは
リカレント教育とは、高校や大学など基礎学習期間を終えて社会人になったあとも、
就労だけでなく学習も継続していくことです。
日本では、就労と学習を交互に繰り返してのちのキャリアに活かすことの他に、
この2つを両立して学びを継続することとも捉えられています。
働き方改革では「働きやすさ」が追求され、働き方の多様化も進み、
一生のうち働ける期間が長くなったことで活躍の機会は確実に増えています。
一方で、時代の流れがこれだけ早いと、大学時代までに身につけた知識だけでは、
その変化への適応が難しくなっているのです。
それを現場で実感する人が増え、企業も創出した労働機会をうまく埋めきれていないという現状もあります。
このことから、政府も、企業も、労働者もリカレント教育の重要性への認識を高めているのです。
リカレント教育の必要性
過去を遡ると終身・長期雇用の慣習のあった日本には、
社会に出てからも教育を受けるという意識があまり浸透してきませんでした。
若い世代は、子供の頃から「早い時代の流れ」の環境下で育ち、
学び続けることの必要性を感じ取っているかもしれません。
時代の変化は、常に新しい知識を求め、今までにない新しいビジネス環境・状況、条件を突きつけます。
社会、産業、業界にどんなに精通、熟練していても、新人と同じレベルの未知のことや、
更新しなければならない知識が増えているのです。
つまり、中高年も、まだ先が長いことに気づき、学習を続け、
生き残れる自分でいれるようアップデートしなければなりません。
企業にとっても、従業員の長期勤続を望む一方で、
仕事オンリーで学ばない人材=無能な人材を抱えることになってしまうのです。
これまでの「就労一本」ではなく、就労に学業を組み込んでいくには、
それなりの時間や労力の配分が必要になります。
産官学の連携体制の整備も進められていますが、
必然的に企業側にも「学びを継続しやすい」体制整備や支援が求められるでしょう。
企業はどう後押しできるか
では、企業は従業員の学びの継続をどのように後押しできるのでしょうか。
リカレント教育としての学びのスタイルには、さまざまな選択肢があります。
もちろん、大学・教育機関などでの学び直しもあり、
夜間部や通信教育、公開講座の受講も挙げられます。
そこに企業が、休暇や費用支援の制度を整備してサポートすることもできます。
女性に対するキャリアアップ支援など企業側が学びの場を創出したり、
育児や介護などでの休業中に学びの機会を提供したりするという手もあるでしょう。
ただ、そのような企業主催の研修の参加率や評価が悪いことは経験済みではないでしょうか。
つまり、個人が主体的に学ぶ必要性を認識することが重要で、
企業が庇護しすぎないよう注意しておく必要があると考えます。
個人の人生(キャリアプラン)について、自らが真剣に向き合い、
自身のプランをベースに学習をし続けることが大切。
それがたとえ、会社の業務以外の関心ごとだったとしても、ひいては企業の力になっていくのです。
もしかすると、会社で必要だとすでに認識しているスキルや能力より、
現状の企業内のどこで活かされるかわからないような知識や経験のほうが、現代企業に必要なものであり、
将来的な期待値は高いものかもしれません。
企業がこのことを深く理解し「サポートする」立場から、
学びの範囲を狭めない意識改革や働きかけが求められている時代ともいえるでしょう。
副業・兼業により企業の外で新たな知識や能力を培ってもらうこともその一策となるはずです。
リカレント教育は、個人が人生をより良く生き抜くために不可欠なものという認識が強まっています。
企業もこのニーズに対応すべくリカレント的に学び、組織運営に反映させていかなければならない時代。
自己をアップデートし続ける優秀な人材が集まる組織は、
その先の変化にも柔軟に対応できるチカラを備えていくはずです。