働き方改革の表裏(2)一部の社員に負担が偏ってはいけない!見直しポイントは?

前回、働き方改革が進んでいないと感じる労働者が少なくないことをお伝えしました。

その中には、働き方改革によって「より大変になった」と感じる人もいるようです。

働き方改革に向けた取り組みが、返って社員の負担増大にならないよう気をつける必要があります。

 

全社遂行が必須!改革推進が担当者任せになっていないか

 

従来の制度を変更するにしても、新しい制度を導入するにしても、社員の働き方に少なからず変化が起きます。

どんなに歓迎される制度も変化が浸透するまでには、抵抗がつきものですが、

いつまで経っても抵抗が消えない/制度が浸透しない/効果が出ないことがあります。

 

制度を実際に利用する社員が、制度の存在や意義をよく理解していないことが原因です。

 

自社の働き方改革のための施策推進にあたって、この点が課題になっている企業が少なくありません。

改革も推進も担当者だけの役割になってしまい、社内が傍観する形で進んでいる可能性があります。

 

社内全体で取り組む意識を持たなければ、推進担当者の負荷を大きくするだけの不毛な施策となるでしょう。

 

企業と部下の間で戸惑い・悩む管理職

 

社内の社員全員の理解不足は前項と被りますが、各部署の管理職だけの理解で進む施策もうまくいきません。

 

たとえば、従来の評価制度のまま新しい休暇制度を取り入れたり、勤務時間に柔軟性を持たせたりすると、

管理職は社員の評価に悩むことになります。企業の働き方改革の推進策が、

上司に対する部下たちの不満を煽る施策になってしまう可能性も出てくるでしょう。

 

働き方改革前と比較して仕事量が増えたと認識する管理職は6割を超えるという調査もあります。

 

 

(※1)残業是正や短時間勤務を徹底するために、

部下のカバーにあたる頻度が高くなる状況が生まれているようです。

つまり、管理職は企業方針と部下の間で悩む立場になるということです。

 

負担や不満が大きくなるほど、管理職や部下たち社員の離職の可能性を高めます。

あらゆる制度に照らして、公平感と納得感の得られる評価制度を整備することが大切。

部下のしわ寄せが管理職にいくという構図を生じさせないためにも、

社内全体での業務効率化や社員のスキル向上策を取る必要がありそうです。

※1 JMAM管理者実態調査2018
http://www.jmam.co.jp/topics/1235209_1893.html

 

働き方改革にもPDCAが欠かせない

 

企業の経営状況やビジネス環境の変化に伴って、社員の業務やニーズも変わっていきます。

全社を上げて関わり、制度や施策のモニタリングやブラッシュアップを

実行できる仕組みを構築する重要度が高まっているようです。

 

定期の分析・改善の時期をいつにするのか、現場の声をどのように吸い上げるのか、

実際に誰が取りまとめて改善策に落とし込むのかなどまで明確化して進めましょう。

社員を含め、社内を巻き込んで進める取り組みは、

社員のエンゲージメントを向上させることにもつながっていくでしょう。

社員に働きやすい環境を提供するための取り組みで、

一部の社員にしわ寄せが生じてしまっては本物の働きやすい環境は実現されません。

「自社に合う」「社員が求める」施策を創り出す姿勢も大切ですが、

それぞれの施策について、どのような影響があり、

どのような効果に行き着いているかまでモニタリングし、

ブラッシュアップしていくことも重要になってくるようです。