副業・兼業は浸透するか?解禁する企業の狙いと課題

政府をはじめ、企業、求職者、従業員など社会全体が、副業・兼業という新しい働き方に注目しています。

今回は、副業・兼業の解禁の現状、解禁に踏み切った企業の狙いを踏まえ、

解禁した場合にどのような点が課題になるのかを見ていきたいと思います。

 

 副業・兼業の認可の現状

 

ランサーズの「フリーランス実態調査」によると、

副業経済は2015年からの4年間で約3倍の8兆円に到達しようとしているそうです。

調査対象フリーランスの約4割が、本業(正社員雇用)とは別に何らかの仕事を持っている副業従事者です。

 

2017年、政府は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」や企業の副業解禁に向けた「モデル就業規則」を公表。

国が副業・兼業促進の方向性を示したことが従来の社会的な副業タブー視を緩め、

解禁に踏み切る企業の割合を上昇させているようです。

 

リクルートキャリアの「兼業・副業に対する企業の意識調査(2018)」によると、

20189月時点で副業・兼業を推進する企業の割合は28.8%。前年比で5.9%アップしています。

現在は禁止していても、現在検討中、もしくは検討したいという企業合計は16.7%。

前年は4.3%だったことから関心度の大きな伸びが伺えます。

今後も解禁する企業が増える兆候が見られます。

 

引用文献:リクルートキャリア

https://www.recruitcareer.co.jp/news/20181012_02.pdf

引用文献:ランサーズ

https://www.lancers.co.jp/news/pr/14679/

 

副業・兼業を認める企業の狙い

 

副業・兼業を認める企業は着々と増えていますが、

解禁する企業の目的は、単なる人手不足対策だけではないようです。

 

専門性が高く、熟練の従業員ほど仕事で触れるスキルが固定化しやすいものです。

副業・兼業で関わる分野が増えれば、自社では得られない能力や人脈が得られる可能性があります。

視野が広がり、多様な知見が組み合わさって社内イノベーションの創出が期待されます。

 

また、限られた時間で本業をこなしながら、副業・兼業を円滑に進め責任を果たすにはセルフマネジメントが欠かせません。

副業・兼業自体、本人の自由意思で取り組むもの。業務遂行の責任は重くなり主体性も生まれます。

慣れ親しんだ企業の中の人たちとは異なる新たなコミュニケーション、コストや時間に対する意識、経営観念も育まれるでしょう。

これらの能力を実体験で培えば、応用も効きますから本業への還元も大きいはずです。

 

優秀な人材は、企業に依存せず、自己研鑽に対しても貪欲で常にアンテナを張っています。

先の見えない現代では堅実な個人のリスク管理ともいえます。

収入を増やすという目的で副業をする人の割合は圧倒的で視点を変えれば、一つの収入が途絶えたときの備えでもあるのです。

副業や兼業の解禁は、自分を伸ばせる何かを社外に見つけたとき、もしくは企業での昇給が難しい現状があっても、

企業に留まりつつ希望を叶える選択肢を提供する方法にもなり得るのです。

 

副業・兼業を認める企業に迫る課題

 

副業・兼業を解禁したとき、企業はさまざまな課題に対峙することになります。

 

スキルを磨く、もしくはスキルを活かして副業を得る人も多いです。

副業で成功する不可避条件でもあるのですが、高い確率で本業に関連する業務に携わる可能性もあります。

この場合、たとえ故意でなかったとしても、企業の機密情報や技術が漏れてしまうリスクが伴います。

副業・兼業に関するルールや規定を明確に設け、徹底させることが大切です。

 

また、仕事が複数になれば、過剰労働への配慮も欠かせません。

副業や兼業に携わる時間帯は自己責任の範疇ですが、しっかり自己管理・コントロールができなければ、健康を害したり、

本業にしわ寄せがきたりする恐れがあります。自己管理や健康面への啓発活動に力を入れることも必要になってくるでしょう。

 

企業自体が質の高い価値創造や新たなイノベーションによって成り立っている現代。

その企業を構成する社員を自社環境だけに留めるルール(副業・兼業禁止)のもと、

労使共に社会のニーズや期待に応えようとするのは、広く見れば矛盾が見え隠れするような気もします。

世の流れは「守られる安定のもとにこなしたい」より「開放されて自由に能力を発揮したい」という価値観に変わってきているようです。

副業の活況化がその現れではないでしょうか。

 

とはいえ、解禁にはそれなりの準備が必要、労使間双方にとってのリスクもあります。

人材不足やビジネス競争の激化など目前の問題や課題の解決も大切ですが、

企業の思いや存在価値、自社従業員にとっての本当の幸せに立ち返って慎重に検討していく必要がありそうです。

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