拡大、縮小、いずれにしてもオフィスの移転はファシリティをゼロベースで見直すことができます。
移転は、企業に変革をもたらす絶好のチャンスです。
移転を改革のきっかけに!
経営資源の中でも「ファシリティ」の重要性については前回でもお伝えしました。
しかしながら、経営戦略に影響を与えるとは言え、既存のオフィスを変えることは至難の業でしょう。
移転をきっかけにした改革であれば、比較的容易に進めていくことができます。
成長している企業の多くが、
移転をきっかけとしたファシリティ改革をひとつのビジネスチャンスとして捉えているようです。
移転計画の第一歩は「現状の不満」を探る
移転の際に立てる「移転計画」は移転の目的から計画へと落とし込んでいくことが理想ですが、
漠然とした「移転目的」になっているケースも多く、それだけでは具体的な計画に繋がっていきません。
・自社のメンバーが増えて手狭になってきたから広いところへの移転
・バラバラだった拠点を集めて、業務効率を上げるための移転
・賃料やメンバーの交通費がより抑えられる場所への移転
・現状施設の老朽化により新しい物件への移転
主目的だけにフォーカスして、いざ、具体的な計画に落とし込もうとすると難しいものです。
そのようなときは、現在のオフィスで生じている「不満点」から探っていくと考えやすくなります。
従業員からのヒアリングやアンケートなどをもとにすると、理想像を導き出しやすいはず。
移転が伴うと、それまで「仕方ない」で済まされていた不満も浮かび上がってくる可能性も高くなります。
実際に現場を利用していくメンバーの意見は貴重で、有効な検討材料になるでしょう。
移転計画とスケジュール管理
移転計画・実施段階になると、スケジュール管理がかなり重要です。
移転プロジェクトは、多くの場合、総務部署が主体となって進めることが多いと思います。
しかし、実際に移動するのは、すべての部署。途中で後戻りしないように、
経営層、財務、人事、ITなど基幹となる部署との認識をすり合わせておくことが大切です。
スケジュール管理を円滑にするためにも、
進行中の意思疎通や連携などがスムーズに取れる体制を整えておく必要があります。
変化を情報にして発信する
オフィス移転は、全社で取り組んでいくべきプロジェクトです。
言い方を変えると、周りを巻き込むことで、
コミュニケーションの活性化や従業員エンゲージメントが高まる期待の持てる機会なのです。
・移転に際し、現場業務を理解してどのようなデザインを選択したのか
・従業員の関わり度の高い、移転実現までの魅力的なストーリー
・どんな効果、良い影響が出ているのか
・見出された、今後のさらなる展望
企業の中のポジティブな側面を外部に伝えれば、企業のブランディングを図ることができるのです。
まとめ
本社移転ともなれば、役員会の決議が必要な重要な経営事項。
移転したこと自体も当然、情報発信され、場合によっては注目されると思います。
それだけの一大イベントですから、画像や映像を加えて、企業のイメージアップにつなげてみてはいかがでしょうか。
移転の意図や経過についても情報発信することで、
企業風土だけではなく経営ビジョンの発信としても有効な材料にできます。
次回は、移転を含め、ファシリティ担当者の役割や持つべき視点についてお伝えします。