【連載2】なぜ、企業の総務担当者がFMに注目しているのか?

前回、企業のオフィスに対しての捉え方が「コスト」から「投資」へと変わってきていることをお伝えしました。

今回は、総務担当の注目度が高まっているファシリティマネジメントについて触れていきます。

ファシリティマネジメント(FM)とはどういうものなのか、その必要性とFMを行うメリットを考えていきます。

 

ファシリティマネジメント(FM)とは?

日本ファシリティマネジメント協会は、FMを次のように定義しています。

「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」
引用:日本ファシリティマネジメント協会サイト http://jfma.or.jp/whatsFM/index.html

この定義から、単純な「施設管理」に留まらないことがわかります。

重要なのは「経営活動」であるということ。

経営戦略を十分に考慮した企画を行い、安全に利用できるよう管理をし、

組織活動の中で有効に活用していくまでがファシリティに対するマネジメント。

働く場所を単なる作業場としての「ハコ」ではなく、価値を生み出す「生産現場」に昇華させるものなのです。

 

ファシリティマネジメントの必要性

多くの企業にとってオフィスをはじめとした「ファシリティ」が経営資源に占める割合は大きく、

人件費に次ぐコストがかかっているという企業も少なくありません。

オフィスの維持管理は単なる物理的な施設担当部署だけの管轄では済ませられない要素です。

なぜなら、オフィスは、カネはもちろんのこと、ヒト(従業員)や今後の事業戦略にも深く関わる事だからです。

 

また投資だからといえ、やみくもに資金投下するだけではダメで、

費用対効果、つまりどのように経営活動に数値的なプラスを生じ得たかを考える必要があります。

ゆえに現代のオフィス環境は、経営視点で管理・活用の継続(FM)が必要とされています。

日本でも徐々にオフィス環境を見直す動きが強まってきています。

その際、総務担当者に、ファシリティマネジメントの知識が必要になってくるのです。

ファシリティマネジメントのメリット

ファシリティマネジメントを行うメリットはどのようなものでしょうか。

 

まずは、資金の有効活用です。

現在の問題点、課題、無駄などを洗い出しすることにより、ファシリティコストを削減することが可能となります。

規模が大きくなるほどコスト削減効果は大きくなり、他の経営資源への投入も視野に入れることができます。

 

次に、労働環境の改善です。

例えば、人間工学:エルゴノミクスに基づいたオフィス家具などの導入、

もっと俯瞰的に考えると、組織や事業領域を考えたゾーニングプランなど、

事業の効率化、生産性を向上させるための環境改善を行うことで、

生産性や従業員の満足度を向上させることが可能になります。

さらに、リサイクル、省エネなど環境に配慮することで、

サステナブルの概念を取り入れた企業として社外的な評価も高める要素も確保できるのです。

 

また、ファシリティマネジメントには、「広報」として活用するという要素が含まれます。

つまり自社オフィスについての情報を発信することも活用方法のひとつです。

従業員や環境に配慮する企業というアピールにも使うことができることはもちろん、

オフィス環境を財務的視野で捉えた経営を行っている企業との評価も得られます。

 

まとめ

ファシリティとは、建物設備やオフィス家具やその配置に至るまで、幅広く指します。

総務担当がそれらの整備を検討し、専門業者に依頼して導入や購入をされることが多いと思います。

多大なコストのかかるオフィス環境の整備。

従来の「ハコ」としての維持管理では非効率という認識が高まっています。

つまり、ファシリティを担当する総務には「活用」する知識が求められているのです。

次回は、「移転」がオフィス変革の好機になることについてお伝えします。